
夏が近づき、薄着になる季節が到来すると、多くの人が自分の体型に意識を向けるようになります。パーソナルトレーナーによると、特に夏が近づくにつれて、「手っ取り早く結果を出したい」と考える人が急増する傾向にあるそうです。新型コロナウイルスの感染拡大を受けて自宅に籠もっていた人々が、久しぶりに友人や知人に会う前に体を引き締めたいと、ジム通いを再開するケースも増えているとのことです。
どんな体形であっても水着を着ることを恥じる必要はありませんが、夏を目標に数カ月間で体を変えることは十分に可能です。適切な計画、現実的な目標設定、そして着実なトレーニング実行によって、たとえ運動初心者であっても、短い期間で大きなフィットネスの効果を得られると言われています。
わずか30日間で驚くほど大変身を遂げた実例もあり、60日から90日という期間があれば、さらに大きな変化を達成することも期待できます。
いつから運動を始めるべきか

ダイエットや体型改善を始めるのに「決まり」のタイミングはありませんが、夏までに理想の体を目指すという目標がある場合、開始時期によってその取り組み方や厳しさが変わってきます。
「なるべく短期間で集中的に成果を出したい」 と考える方は、夏目前の2〜3ヶ月前、具体的には6〜8月までに目標を達成したいなら3〜5月頃から集中的に取り組むのがおすすめです。
この期間に集中して食事コントロールや定期的な運動を行うことで、ダイエットを習慣化しやすくなるというメリットもあります。
一方、「マイペースに、緩やかなペースでダイエットしたい」 という方には、6ヶ月前から始めるのがおすすめです。同じく6〜8月までに目標達成を目指すなら、前年の12月〜1月頃から開始すると良いでしょう。長期間あれば、すぐに目に見える成果が得られなくても焦る必要がなく、忙しい日があってもリカバリーがしやすいため、無理なく続けることができます。
特に春は運動を始めるのに最適な季節とされています。気候が過ごしやすく、屋外での散歩やサイクリングなども快適に行えるため、楽しみながら運動習慣を身につけやすい環境です。
夏に向けて具体的な目標を設定しやすく、運動のモチベーションを高く維持できるという点も春に始めるメリットです。
また、日の出時間が早くなる春は、早寝早起きの生活リズムを整えやすく、食事や運動のリズムも自然と整いやすいため、運動習慣を確立するのに適しています。
目標設定と優先順位の明確化

運動習慣を始める上で、まず何を優先するのかを明確にすることが非常に重要です。パーソナルトレーナーのブライアン・ゴールドバーグ氏は、フィットネスで最もやりがちなミスの1つとして、具体的な目標への絞り込みの不足を指摘しています。多くの人が「何でもいっぺんにやろうとするワナにはまりがち」であり、「すべてのことを一度にはできません」。
生理学的に見ると、筋肉量を大幅に増やすことと体脂肪を大きく減らすことを同時に達成するのは非常に難しいとされています。両方を同時に目指そうとすると、どちらにおいても思うような進展が得られず、結果的に不満が募り、モチベーションが下がってしまう可能性があるのです。
特に、短期間で目に見える結果を出したいのであれば、一つの目標に絞って運動を続けるのが最良の方法だとゴールドバーグ氏はアドバイスしています。もし具体的な目標が思い浮かばない場合は、筋肉をつけて体にボリュームを出したいのか、それとも体脂肪を減らして筋肉のラインをくっきり見せたいのか、あるいは運動パフォーマンスの向上に集中したいのか、といった選択肢から考えると良いでしょう。
大半の人にとって、短期間ではっきり目に見える結果を得たいのであれば、体脂肪の減少に集中するのが近道です。これは、筋肉量を増やすよりも体脂肪を減らす方が比較的短時間で実現しやすいためです。
効果的な運動方法

体脂肪を減らす、あるいは筋肉をつける、どちらの目標であっても、手っ取り早く結果を得るために最適な運動法は共通していると言われています。
効果的な方法として、コンパウンド・エクササイズ(多関節運動) と呼ばれる種目があります。具体的には、スクワットやデッドリフト、プレス系のトレーニングなどが挙げられます。これらのトレーニングは複数の大きな筋肉群を一度に動員するため、効率よくカロリーを燃焼させることができ、同時に筋肉をつけることにもつながります。 また、有酸素運動(カーディオ)と無酸素運動(レジスタンストレーニング)を組み合わせて行うことも、できるだけ早く結果を出すために有効な方法です。
自宅で手軽に行える運動としては、下半身の筋力強化に効果的なスクワットや、体幹を鍛えるプランクがおすすめです。ウォーキングやランニングなどの有酸素運動で脂肪を燃やしつつ、スクワットを取り入れて基礎代謝を上げることで、より痩せやすい身体を目指せます。
さらにハードなトレーニングとしては、グルートブリッジやキックバック、ハムストリングカールなども効果的です。 効率を重視するのであれば、1つの筋肉しか動かさないトレーニング種目や、体の特定の部位だけを「集中的に鍛える」といった運動は避けた方が良いでしょう。「効率の悪い筋トレ種目」の主な例として、バイセップ・カール(二の腕)、カーフ・レイズ(ふくらはぎ)、レッグ・エクステンション(ひざから下を持ち上げる)などが挙げられています。
運動の時間については、週に2回から5回、1回あたり45分程度のセッションでも十分な運動量になるとよいでしょう。ただし、運動中は時間を無駄にせず、集中して取り組むことが大切です。
食事と栄養の重要性

具体的な目標を設定したら、その達成に向けて食生活にも十分に気を配る必要があります。なぜなら、適切な栄養摂取なしでは、ジムでの運動だけで達成できることには限界があるからです。
体脂肪を減らすためには、摂取カロリーが消費カロリーを下回る「カロリー不足」の状態を作り出すことが不可欠です。 これとは対照的に、筋肉量を増やすためには、筋肉細胞の修復と成長に必要なエネルギーを供給するために、摂取カロリーが消費カロリーを上回る「カロリープラス」の状態にする必要があります。
目標に合わせた食事計画を立てることが、運動の効果を最大限に引き出す鍵となります。
休息とリカバリーの重要性

フィットネスの目標を達成する過程で、多くの人が見過ごしがちなのが、体が回復し、変化するために必要な休息の時間です。しかし、休息は決して欠かすことのできない、非常に重要な要素です。
特に筋肉量を増加させるためには睡眠が欠かせません。人の体は、睡眠中に筋肉細胞を修復し、成長させているからです。
また、減量に関しても睡眠の効用は過小評価されがちですが、体脂肪が減ってくると、以前よりも多めの休息が必要になる可能性があると指摘されています。 これは、エクササイズであれ食事制限であれ、体に対する働きかけは一種のストレスになるためです。
適切な休息をとることで、体がこのストレスから回復し、次のトレーニングや活動に備えることができるのです。
夏本番に備える「暑熱順化」

夏に向けて運動習慣を始める上で、もう一つ非常に重要なのが暑熱順化(しょねつじゅんか) です。
体が暑さに慣れていないと、熱中症になる危険性が高まるからです。暑い日が続くと、体は次第に暑さに慣れて暑さに強くなっていきます(暑熱順化)。 暑熱順化が進むと、汗をかく量(発汗量)や皮膚の血流量が増加し、汗が蒸発する際の気化熱や、体の表面から熱を逃がす熱放散がしやすくなります。これにより体温調節がスムーズに行えるようになり、熱中症の予防につながります。
暑熱順化に有効な対策は、実際に気温が上がり熱中症の危険が高まる前に、無理のない範囲で「汗をかく」ことです。日常生活の中に、運動や入浴を取り入れることで体を暑さに慣らすことができます。 具体的な方法としては、以下が挙げられます。
屋外での運動
室内での活動
暑熱順化には個人差がありますが、数日から2週間程度かかるとされています。そのため、本格的に暑くなる前から余裕をもって暑熱順化のための活動を始めることが重要です。 一度暑熱順化ができても、数日暑さから遠ざかるとその効果は失われてしまうという点に注意が必要です。
自分が暑熱順化できているかを常に意識し、まだ慣れていない時期は特に熱中症に警戒しましょう。 特に暑熱順化ができていない可能性が高いタイミングとして、5月の暑い日、梅雨の晴れ間、梅雨明け、お盆明けなどが挙げられています。これらの時期の約2週間前を目安に、暑熱順化のための運動や入浴を開始するのがおすすめです。
暑熱順化ができているかを確認するためのセルフチェック方法も紹介されています。入浴、運動、その他の汗をかく行動の3つの項目についてチェックし、バランス良く取り組むことが効果を高めるポイントです。
継続するための現実的なアプローチ

大幅なイメージチェンジを達成し、この夏に大変身した姿を見せつけたいという考えは非常に魅力的です。
しかし、このような急激な変化を目指すことは、かえって長期的な目標達成の妨げとなる恐れがあります。過度な食事制限や無理なエクササイズで一時的に結果は得られるかもしれませんが、その後燃え尽きてしまい、厳しいルーティンを続けることが困難になる可能性が高いからです。
つまり、この夏までに必ず腹筋が割れていなければならない、ということはないのです。一人一人の「健康的な体」がどのような見た目になるかには、遺伝などの要素が大きな役割を果たしています。大切なのは、雑誌のモデルのような体型を目指すことではなく、自分自身をより良くすることです。 大幅な肉体改造には数年の月日がかかるものですが、小さな変化を積み重ねていけば、数カ月の間にも着実に結果は出てきます。
そして、その成果を足がかりにして、夏が終わってからも運動を長く継続していくことができるはずです。ゆっくりと、しかし着実に、というのが最良のアプローチです。
まとめ

夏に向けて理想の体を目指すための運動習慣は、今から始めることで十分に間に合わせることが可能です。目標設定、効果的な運動、適切な栄養、十分な休息、そして暑熱順化といった要素をバランス良く取り入れることが、成功への鍵となります。
運動を始める際は、最初から無理をするのではなく、ウォーキングなどの軽い運動から始めて、徐々に強度や時間を増やしていくようにしましょう。夏までに「〇kg痩せる」といった具体的な目標を設定することや、好きな音楽を聴きながら運動するなど、運動を楽しむ工夫を取り入れることもモチベーションの維持に繋がります。
もし運動不足の解消に迷っている場合や、自分に合ったトレーニング方法を知りたい場合は、フィットネスジムを活用するのも有効な手段です。専門のスタッフがサポートしてくれたり、個別のトレーニング方法を習得できるプログラムなども提供されています。 「始めるのに最高のタイミングは、今なのです」。今日からあなた自身の「より良い自分」を目指して、ゆっくりと、しかし着実に一歩を踏み出してみましょう。
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